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AFCアジアカップ決勝トーナメント決勝 全てにおいてアップデートしたカタールが日本から3発で初優勝

AFCアジアカップ アラブ首長国連邦大会 決勝 アブダビ・ザイードスポーツシティスタジアム

 

カタール3ー1日本 (カタールアジアカップ初優勝)

 

得点者 アルマエズ・アリ(前半12分)、ハリファ(前半27分)、南野(後半24分)、アフィフ(後半38分)

 

試合前に日本の優勝予想が多かったようだ。その理由は中3日と中2日の違い、カタールは守備や連係面に弱点という意見が大半だった。

 

だが、グループステージから見るとキックがうまく速いパス回しが特徴なチームと見ていたので同じスタイルのサウジアラビアよりも組織的で完成度が高い。

 

準々決勝の韓国戦では5バック(3バック)と2ボランチで守り切る力もあり前線のアルマエズアリやアフィフら攻撃陣のスピードがあった。

 

だから、ドリブルなどの地上戦で攻められたり、守備ブロックを引かれると厳しいと見ていたので日本有利とは思わなかったのが正直なところだった。

 

前半12分に左サイドから中央にいたアルマエズアリが2トラップした後に右足のオーバーヘッドでカタールが先制した。マークしていた吉田からしたら惑わされた感じだったため寄せて取ることが出来なかったためどうすることもできない形で日本は先制されてしまった。

 

注目はその後のカタールのボール回しの速さで日本が前線からのプレスをしに行ったがうまく交わされてしまったところだろう。

 

前半27分にバイタルエリア付近からハリファのミドルシュートが決まりカタールが追加点をあげた。実は準々決勝の韓国戦と同じ位置から決めたが、その要因は塩谷の寄せへの指示が遅れた吉田のコミュニケーション不足によるものと思われる。

 

長谷部の後を受けてキャプテンに就任したが、吉田はどちらかというと自分のプレーに徹する職人タイプで前回のアジアカップでPKを外した本田や香川に声をかけるほど気配りが出来るが、吉田は経験が少ないために塩谷の指示が遅れたためバイタルエリアにスペースができてしまったことでハリファにシュートを打たれてしまった。吉田自身が初めからリーダーシップのタイプではないので南米選手権からはフランスに移籍した昌子にキャプテンをさせてもいいだろう。

 

後半になりカタールは日本の弱点でもある守備ブロックを引いてきた。アルマエズ・アリら前線の選手たちにボールが収まらなくなったあたりから日本の流れになり始めた。後半17分に左サイドの原口から武藤に代えてきた。その武藤は大迫と2トップを組んだがロシアワールドカップのグループステージ第3戦ポーランド戦以来になった。

 

個人的には流れが良くなったといったが、武藤の代表戦でのゴールシーンなどを見るとセンターでトップ下のようなプレーよりも裏に抜け出してドリブルで仕掛けたりミドルシュートを打たせるなどフリーランタイプの選手である。あの時、南野を左サイドにするなら堂安を右のトップ下にして武藤を右サイドにしたほうがドリブルからチャンスを作りコーナーキックフリーキックを獲得しやすくなりそうだが守備ブロックを崩すことにこだわりすぎてカタールの守備網にはまってしまったのが真相なのかもしれない。

 

だが、後半27分に塩谷のスルーパスに大迫がオフサイドぎりぎりのところでワンタッチプレーで抜け出した南野がループで決めて1点差になった。日本の流れに行きかけた後半38分にカタールのカウンターから右サイドのクロスに吉田がクリアをした際に主審がVARを要請してきた。吉田の感覚は不可抗力だったが、今回の準々決勝から導入されたVARの傾向はどういうことがあっても「手で触ったらPK」という傾向があったためどっちみちPKを取られる運命だった。このPKをハフィフが決めてカタールが初優勝を決定づける3点目になった。

 

アジアカップを初優勝したカタールは2022年大会に抜けて育成年代からの強化が実った形になった。スペインスタイルの確立を目指すため直接指導者を呼び込み一貫性を持った育成をここ10年で成し遂げたが、特に中東は潤沢な資金を武器に、最先端のヨーロッパの戦術と育成を持たれたら日本だけでなく準々決勝で敗退した韓国やオーストラリアまで抜かれて東アジア勢が世界から取り残される可能性もあるだろう。

 

日本がロシアワールドカップ前の4月にハリル前HCが本田や香川ら北京五輪世代を中心に内輪もめで解任させたが、グループステージ初戦のコロンビア戦で1人多かったことも助かり帳尻合わせで決勝トーナメント進出を決めたが、カタールと同じくここ10年足らずで世界ランキング1位に上り詰めたベルギーに2点差から半端ない形で逆転負けしたからこの2チームからしっぺい返しを食らった1年になった。

 

日本サッカー協会やメディアがやるべきは選手起用や作戦面での短期的な部分ではなく選手育成や戦術面での見直しやアップデートなどの長期的な視点での議論と実行をしなければいけないが、ワールドカップが毎回終わった後でも両方とも短期的な部分に目が行きがちなのが現実問題かもしれない。